前回まで外銀全体の歴史や部門別の仕事内容をおさらいしました。
今回はいよいよ各外資系投資銀行の特徴をご紹介します!
皆さんも受検することになるであろう企業ばかりなので、ゆっくりじっくり読みこんでみてください!
▽前回までの記事はこちら▽
ゴールドマン・サックス
「外資系投資銀行で知ってるとこを1社挙げて!」と言ったら9割以上の人が答える会社。
それがゴールドマン・サックスです。
略称はゴールドマンあるいはGS(ジーエス)と呼ばれています。
19世紀から続く世界的に有名な超名門投資銀行であり、現在の投資銀行業界を作ってきたといっても過言ではない実績とネームバリューを誇ります。
日本支社は1970年代に設立され、現在は六本木ヒルズにオフィスを構えています。
六本木ヒルズのオープン当初から一度もオフィスを移転させていないことは、それだけ安定した実績を出し続けている証拠なのかもしれません。
現に六本木ヒルズにはゴールドマン・サックスの社員専用ゲートが設けられており、就活生はただそのカッコよさに惹かれてゴールドマン・サックスを受けます(笑)
実際六本木ヒルズの47階で仕事ができるというのは、純粋になんかカッコいいですよね(小並感)
日本支社では10年以上も持田昌典さんが代表を務めており、よく他社の投資銀行は「持田一極集中」「持田政権」「持田ファミリー」などと揶揄することがあります。
他社の社員さんは基本的に内情を知らないので話半分に聞いておけばいいのですが、実際にその一面はあり、持田さんをはじめとしたMDやシニア陣の強力なリーダーシップのもとに成り立っている会社です。
2017年はその存在感が示された年でもあり、東芝の半導体子会社の2兆円での売却案件のアドバイザー、同じく東芝の6000億円にのぼる第三者割当増資の単独主幹事を務めるなど、ゴールドマン・サックスの地力の強さが見られます。
投資銀行部門だけでなくマーケット部門も無類の強さを誇り、ビットコインのセールス&トレーディングにもいち早く興味を示すなど、ハイリスクハイリターンなビジネスへの進出を好む社風でもあります。
気になる若手時代の働き方ですが、投資銀行部門に関しては2年間のアナリスト期間は「新卒」として働き方改革が適用されます。
基本的には日付が変わる前の退社が強制され、時には19時頃の退社を促されることもあるようです。
しかしゴールドマン・サックスは他の投資銀行よりもアナリスト期間が1年短いのです。
ココが働き方改革の抜け道になっており、アナリストからアソシエイトに昇格した瞬間に「プロフェッショナル人材」と見なされ、労働時間の制約のバーが外されます。
昔はアナリスト時代から制約のバーがなかったのですが、今はアナリストが働き方改革によって守られがち。
かと言って業務量が減るわけではないので、アソシエイトやVPに全ての業務のしわ寄せが行って激務となっているのは事実でしょう。
実際ゴールドマン・サックスの若手の離職率は他社に比べても比較的高く、バンカーとして長く働く環境としては微妙と言えるかもしれません。
気になる就活スケジュールについてです。
GSは持田さんのひと声で外資系投資銀行の中では唯一経団連の就活時期を守ろうという姿勢を見せており、学部3年/修士1年の3月から選考を始めるスタイルをとっています。
2020卒からは元の通り1月選考に戻すという説が有力ですが真相のことは不明です。
一方で証券部門・アセットマネジメント部門・オペレーションズ部門などは、10月頃からインターンシップを開催して早期選考をしています。
投資銀行部門に関しては夏~秋頃にオープンデーと呼ばれる会社説明会を開催しているにとどまり、正式なインターンシップは開催していません。
ただ裏では理系院生や女子に受験を促すプロモーション活動を行っています。
そうしないと他社投資銀行から内定をもらって就活を終了し、ゴールドマン・サックスを受けてくれないためでしょう。
持田さんのひと声で採用もひと苦労です(笑)
しかし何せよネームバリューが半端ではないので、その後のキャリアの幅は間違いなく広がります。
将来のキャリアを見据えた上でゴールドマン・サックスを受けることは非常に合理的であり、むしろ受けるべきでしょう。
モルガン・スタンレー
ゴールドマン・サックスと並び、米系投資銀行として無類の強さを誇るのがモルガン・スタンレーです。
略称はモルスタあるいはMS(エムエス)と呼びます。
意外にも社員さんは「モルガン」と自称することが多いのですが、J.P.モルガンも言わば「モルガン」なのでこれは置いておきましょう(笑)
海外では「GS・モルスタ」というくくりで見られることが多く、ピュア投資銀行としての強さを感じます。
GSが野村證券、モルスタが大和証券といったところでしょうかね。
もともとはモルガン商会という大財閥の1部門であったわけですが、米国でグラス・スティーガル法(銀証分離法)が制定された結果、証券会社部門として独立したのがモルガン・スタンレーです。
グローバル・ネットワークを駆使し、毎年リーグテーブル(売上ランキング)上位にランクインする実力を持ちます。
日本においてはオフィスは大手町に構えています。
ちなみに数年前までは恵比寿ガーデンプレイスというおしゃれな場所にありました。
また、2010年にMUFG(三菱東京UFJフィナンシャルグループ)と合併してジョイント・ベンチャーとなっています。
その際に三菱UFJモルガン・スタンレー証券(通称ミツモル。株主比率は三菱60%・モルスタ40%)とモルガン・スタンレーMUFG証券(株主比率は三菱49%、モルスタ51%)の2つに分社化され、就活生にとってはややこしくなっています(笑)
この2社の違いについては以下の記事で詳しく述べているので、モルガン・スタンレーを志望する学生は一読してみてください。
この合弁によってMUFGによる国内市場の知見とモルスタによるグローバル市場の知見が掛け合わさり、より案件獲得に対して強みを発揮できているのは事実です。
実際投資銀行部門においては案件が豊富にあり、会社として無類の強さを発揮しています。
しかしMUFGとの結びつきが強まったせいで、FIG(金融法人グループ)の案件はみずほやSMBCの案件が激減しました。
また放っておいても三菱経由で案件が転がり込んでくることも多くなったため、以前より貪欲でなくなったとの声もあります。
チーム制を採用して中途採用も拡大しているため、新卒だと上が詰まって昇進しにくいとの話も聞こえてきます。
マーケット部門においてはモルスタは長年エクイティ・ハウス(株式に強い証券会社)と呼ばれており、特に株式セールス&トレーディングの業績に強みを持っています。
気になる就活スケジュールですが、モルガン・スタンレーはサマーインターン(Summer Insight Program・通称SIP)を全部門で開催しており、大学3年/修士1年の7月にサマー前面接、8月にインターンシップを開催しています。
そして12月頃から部門別に本選考を開始し、1月にはほぼ全部門で内定が出揃います。
全部門に共通していますが、モルスタはサマーインターンを特に重視している印象が強く、投資銀行部門・債券セールス&トレーディング・マーチャントバンキング部門などはほぼサマーインターン参加者で埋められます。
特に投資銀行部門は他社と違い、ウィンタージョブが開催されずに面接選考のみとなります。
学生の能力を測る機会は必然的にサマーインターンでしかなくなるので、夏は心して選考に臨むことが求められます。
就活生の皆さんは変に出し惜しみすることなく夏から応募することをオススメします!
J.P.モルガン
19世紀の米国金融業界のドンとして君臨していたジョン・ピアポント・モルガン(J.P.モルガン)がトップを務めていたモルガン商会。
そのモルガン商会の銀行業を担っていたのが現在のJ.P.モルガンに当たります。
1930年代に世界恐慌の反省を踏まえて米国政府がグラス・スティーガル法(銀証分離法)を制定したのち、モルガン商会はJPモルガン(商業銀行)とモルガン・スタンレー(証券会社)へと分離します。
その後チェース・マンハッタンなどとの合併を通じ、アメリカの一大メガバンクとなったJ.P.モルガン。
1980年代以降にアメリカでグラス・スティーガル法が形骸化していくにつれ、徐々に再び証券業にも進出し始めます。
そしてリーマンショックを経てJ.P.モルガンの立場はさらに強くなります。
GS・モルスタ・メリルリンチなどが相次いで経営危機に陥る中でJ.P.モルガンは唯一リーマンショックでも業績を落とさなかった金融機関であり、IBDやマーケット部門の立ち位置も向上していきました。
こうしてゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーに並ぶトップティア投資銀行として名を連ねることになったのです。
先ほどGSを野村證券、モルスタを大和証券と例えましたが、そうするとJ.P.モルガンはSMBC日興証券かみずほ証券あたりになります。
メガバンク+投資銀行というビジネスモデルがそっくりそのままですね(笑)
会社としての強みは債券にあります。
モルスタがエクイティ・ハウスと呼ばれるのに対し、J.P.モルガンはデッド・ハウスと呼ばれることがありますね。
債券セールス&トレーディングやDCM(資本市場部門の債券部)で仕事をしてみたい人にとっては、一度見ておくべき会社になります。
またアセットマネジメント部門も新卒採用を積極的に行っており、GSと並ぶトップティアとして人気を誇っています。
投資銀行部門に関してはGSやメリルと並ぶピュア外資として奮闘していることもあり、大型のクロスボーダー案件が多い印象があります。
必然的に英語を使う機会は多くなるでしょう。
また投資銀行部門は人数が絞られているため1人当たりの業務量が多く、若手からの裁量が大きい反面アナリスト1年目から激務になる傾向が強くあります。
新卒ということでは基本的にプール制を採用していて、ローテーションで色々な案件に関わる機会が用意されていることが特徴です。
バンカーとして総合力を高めるのには最良の会社と言えそうです。
外資系投資銀行の中では比較的どの部門も新卒を大事にするカルチャーが根付いており、普通に成果を出し続けていればVP(ヴァイス・プレジデント)程度までは昇進することが可能です。
実際に新卒で上級職についている社員さんも他社に比べて多い印象があり、バンカーとしてのキャリアを積む環境としてはかなり良いと思います。
就活スケジュールですが、モルガン・スタンレー同様にサマーインターンを全部門で開催しています。
大学3年/修士1年の7月にサマー前面接、8月にインターンシップ本番というスケジュール感です。
そして12月頃から部門別に本選考を開始し、1月にはほぼ全部門で内定が出揃います。
サマーを重視する姿勢は他社とも変わりませんが、モルスタと違って本選考の中にウィンタージョブが組み込まれているので冬からの巻き返しも可能です。
BofA(バンクオブアメリカ)
GS・モルスタ・JPと並び米国名門投資銀行であるBofA。
かつてはバンクオブアメリカ・メリルリンチと呼ばれていましたが、メリルリンチの名前を外すという全社方針がいつしか発表されました。
一方で日本では、銀行でないにもかかわらず「バンク」や「銀行」という名前を社名に入れてはいけないというルールがあり、残念ながら「バンクオブアメリカ証券」と名乗れなくなったので「BofA証券」という会社名になった経緯があります。
日本進出への意欲は強く、バブル崩壊後に山一證券のリテール部門を買収(後に売却)した経験もあるなどアグレッシブな社風を持つ会社です。
リーマンショック後に経営破綻に陥り、旧メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに救済合併されるなどの苦難もありました。
現在はそれを乗り越え会社としての強さを発揮しています。
ただ日本においてはどうしてもGS・モルスタ・JPに比べるとブランドが少し落ちるというのが実情のようで、リーグテーブルや就活生の評判を総合的に鑑みて内定の森運営メンバーの見解もおおむね一致しています。
アセットマネジメント部門を持たずIBDとマーケット部門のみを稼ぎ頭にしている面からも、選択と集中を余儀なくされている実情が伺えるのではないでしょうか?
しかしBofA内定者は誰よりも自分の会社のことを好きになる傾向があり、メリル愛の強さが社員の特徴としてあるでしょう。
またこれはIBD・マーケットに共通して言えることですが、基本的に野性的で派手な人が多く合コンやパーティーが好きな人たちが集まりやすい傾向にあります。
世間の外銀のイメージはBofAが一番近いかもしれませんね(笑)
労働形態や昇進制度についてですが、近年の働き方改革の波に押されBofAでもアナリスト時代は22時には退社を強制される雰囲気になっているようです。
しかしGSと同じようにアナリスト期間を3年から2年に縮め、早くアソシエイトに昇進させてしまうことで労働力を確保しようとしているらしく、どこのハウスとも同じようにアソシエイトの業務量が膨れ上がって激務化しているとのことです。
就活スケジュールについてですが、基本的にモルスタ・JP同様に全部門でサマーインターンを開催しています。
大学3年/修士1年の7月にサマー前面接、8月にインターンシップ本番というスケジュール感であることも、他社と同様です。
そして12月頃から部門別に本選考を開始し、1月にはほぼ全部門で内定が出揃います。
サマーで優秀と判断されると社員からフォローアップが付きますが、投資銀行部門の場合はウィンタージョブを経ないと内定が出ません。
マーケット部門も冬から選考に参加した学生が内定している場合も少なくなく、基本的には冬が勝負の会社と言えます。
またメリルリンチでは2020年卒からジョブ前面接の更に前にオンラインビデオ面接が課せられるようになりました。
Hirevueというお馴染みの面接プラットフォームを使うので、気になる人は仕組みをチェックしてみてください!
【各社紹介編②】に続く
まだまだ外資系金融機関はたくさん存在します。
次は欧州系投資銀行を中心に、その他外資系金融機関も中心にご紹介するので乞うご期待!
「外銀内定への道」シリーズ