外銀のサマーインターンは難関インターンとして就活生の中でもブランドになっています。
外銀のサマーインターンは内定までの中でどのような位置づけになっているのでしょうか?
インターンの流れや評価される学生像も合わせて、内定の森が徹底解説します!
▽前回の内定への道はコチラ▽
外銀内定のための正念場・サマーインターン
ES・Webテスト・面接を通過して、晴れてサマーインターンに参加する皆さん。
ひとまずおめでとうございます!
しかしあくまで勝負はここから。
サマーインターンに合格しただけで満足するだけでなく、1月の本選考で内定が出るまで走り抜けましょう!
外銀のサマーインターンってどれくらい重要?
実際、外銀のインターンって内定するにあたってどれだけ重要なのでしょうか?
外銀サマーインターンに参加するメリットとしては、主に3つあります。
① 優秀認定されるとランチ等の囲い込みを受けられる
② 投資銀行のインターンの流れを体感できるため、ウィンターインターンで活躍しやすくなる
③ 総合商社などの他業界選考で有利になれる
①に関しては直接的ですね。
1グループ(学生5~6人)から約2~3名程度は、サマーインターン後に個別でランチのお誘いが来ます。
特に囲い込みが強いのは以下の4社。
シティ・グループ
サマー優秀者のみを集めた裏選考があり、12月に早くも内定が出る
J.P. モルガン
サマー優秀者はウィンターインターンが別ルートになる
UBS
基本的にサマーインターン参加者から内定者が出る
ラザード
サマー優秀者のみ限定のウィンタージョブがある
モルガン・スタンレーは個別囲い込みなし(参加者全員による懇親会)、メリルリンチは囲い込みがあるものの最終的な内定者との相関はなしといった感じです。
勿論囲い込まれたほうがいいには決まってますが、結局内定するか否かは冬の1月に開催されるスーパーデー(MD7~8名との個別面接)が全てなので決して油断しないように!
そういう意味で②に関しては結構重要です。
外銀は基本的にウィンターのみが本選考なので、夏の時点で投資銀行のジョブに参加して「ああ、ジョブってこうやって進めるとスムーズにいくんだ」「こういう言動が評価されるんだ」という感覚をつかめていると凄く有利です。
基本的にどこのハウスでも進め方や内容についてはほとんど同じなので、どこでも良いので1社参加しておくとアドバンテージになります。
③に関しては巷でウワサされていることですね。
総合商社で優遇を受けられる枠としては「体育会枠」「帰国子女枠」「外資系企業内定者枠(インターン参加者も高評価)」という感じで、外銀インターンに参加をしているだけで箔付けになります。
その他、ベンチャー企業などの選考を受ける際にも「外銀のインターンに受かっていた」ということを面接でポロっと言うと「優秀な学生なんだな」と思われる場合が多いです。
基本、外銀のサマーインターンに参加しておくことはプラスになるでしょう。
サマーインターンの流れ
外銀のサマーインターンは3日間開催の場合が多いですが、ここではその3日間で行われるプログラムについて簡単に解説していきます。
会社紹介・講演
1日目の始まりとともに、人事やリクルーティングヘッドからの挨拶がまず行われます。
その後、本部長やMDなどいわゆる「お偉いさん」から、自社の魅力やバンカーとして生きていくうえで大切なマインドセットなどが語られる講演がだいたい用意されています。
どこのハウスでもMDクラスの方々は魅力あふれる方が多く、開催側としてはこの部分で学生のロイヤリティアップを狙っていると言えるでしょう。
特に評価と直結するところではないので、素直にお話を聞きましょう。
バリュエーション講義
その後、ジョブを行うにあたって必要になってくるバリュエーション(企業価値算定)についての簡単な講義がなされます。
現役バンカーの方々が「市場株価平均法」「類似企業比較法」「DCF法」などについて解説をしてくれますが、とてもこの講義だけでは実践的な理解は深まらないと思うので、事前にバリュエーションの本は読んでおきましょう。
バリュエーションをゴリゴリやることはジョブにおいてそこまで評価に直結はしませんが、最低限社員の人と会話ができるくらいの知識・理解は持っておくのがベストです。
以下の2冊あたりを買って、当日までにザっと読み込んでおきましょう!
ジョブお題発表
昼食を挟んで1日目の午後にジョブのお題が発表されます。
おおよそどの企業でも「株式会社〇〇に対して、買収候補先の提案資料を作成してプレゼンせよ」みたいな形のお題が出されます。
要するに「〇〇社が買収によって更なる成長ができそうな買収候補先を見つけて、成長シナリオを描け」ということです。
買収企業の現状分析
お題が発表されると同時に、〇〇社に関するPIB(Public Information Book)という公開情報が集められた冊子がグループに配られます。
PIBの中に含まれている公開情報はおおよそ以下の通り。
・中期経営計画
「〇〇社が今後どの事業を伸ばしていきたいか」という意思表示を投資家向けにするための資料
・直近の決算短信もしくは有価証券報告書
財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)など正確な数字回りの資料
・アニュアルレポート
社長のコメントや企業理念などに重きが置かれて書かれた資料
・アナリストレポート
各証券会社のアナリストが〇〇社についてまとめたレポート集
基本的にググれば出てくるものばかりですが、いちいちググるのも面倒なので結構PIBは重宝します。
また、アナリストレポートに関してはオンラインで取得しようとすると有料なのでPIBを頼るのがマストです。
現状分析で洗い出しておくべき要素は以下の通り。
・〇〇社の事業概要
「電子機器事業」「ヘルスケア事業」など、中期経営計画で事業分類について書かれているので、各事業の規模やビジネスモデルをおさえる
・全社方針/M&Aへの投下資金の上限
中期経営計画やアニュアルレポートを見て「▲▲事業を拡大したい」「M&Aに××億円投資する」といったコメントが見られないかを探す
・現状値と目標値とのギャップが大きい事業
現在の売上と目標売上との差が大きい場合はM&Aをして成長を加速させる必要性が出てくるので、買収ストーリーが描きやすい
・〇〇社のM&A/資金調達履歴
過去にどのような買収/資金調達案件があったのかをググる等で時系列として押さえておく(過去M&Aと今回の提案が重複するのを避けられる)
・各事業ごとの市場/競合環境
上3つは主に「自社」に関する分析だが、もちろん市場規模/成長率、競合の数・強弱などはググって押さえておく
現状分析をする上でのゴールとしては「〇〇社は■■事業に力を入れたい/力を入れるべきだから、■■事業におけるシナジーがある企業を買収しよう!」という方針を立てることです。
欲を言えば、買収のために出せる資金の上限まで把握しておくと、次のリストアップの際に楽になります。
中期経営計画に書かれていない場合は「〇〇社の時価総額以上の会社は買えない」くらいのレベル感で考えておくといいでしょう。
被買収企業候補のリストアップ
現状分析が終わると、次は買収先として適切そうな企業をリストアップするフェーズに入ります。
・時価総額が予算の範囲内か
基本的に買収する際は「時価総額+買収プレミアム」を払う必要があるので、予算を超える場合は買収不可能
・〇〇社の■■事業とシナジーが生めそうか
これは後述します
・財務健全性は担保されているか
過度な負債の抱え込みがないか(格付けは大丈夫か)を見ておく
この辺りで簡易フィルターを掛けて企業をリストアップしていきます。
リストアップの仕方は色々ありますが「ひたすらググる」「SPEEDAで業界によるソートを掛けて一覧を見る」といった地道な作業が必要になります。
シナジーについてですが、ここで考えておくべき買収形態は「水平統合」か「垂直統合」かということです。
水平統合とは、同じような業態を持つ企業が買収/合併によって一体化することです。
ファミリーマートとサークルKサンクスが買収・統合された例などがこれに当たります。
基本的に業界2位以下の企業2社が、業界1位に対抗するために取るべき策と言えます。
業界1位の企業でこの手法を採用すると、独占禁止法に引っかかる可能性もあるので、避けたほうが無難かもしれません。
ただ「海外企業を買収して拠点を獲得しに行く」というような買収形態だったら、問題はありません。
電通がイギリス大手広告代理店のイージスを買収した例など数多くあります。
一方垂直統合とは、バリューチェーンを作成した際に欠けている部分を補完する買収形態のことを言います。
一般的にバリューチェーンは「生産」→「流通」→「販売」といったような表現されることが多いです。
〇〇社において「流通・販売網は持っているが生産や技術力がない/他社に劣る」という分析がなされた場合は、技術力に強みを持つ企業や製作メーカーを買収しに行くという方策があるわけです。
ジョブ中ではどのグループの提案も「海外へ進出する水平統合」か「バリューチェーンを補完する垂直統合」へ行きつく場合がほとんどなので、この2つのどちらかに落とし込む方向であらかじめ考えておくとジョブがスムーズに進むと思います。
ちなみに言うとぶっちゃけ買収ロジックの後付けは無理くりでも可能なので、現状分析もそこそこに「まず買えそうな企業に目星を付けておく」という裏技もあります(笑)
社員さんも「最悪後付けはOKだから、提案資料を作ることがまずは大事」と口をそろえて言うので、このフェーズでどれだけ良さげな企業を見つけられるかが肝になってくるでしょう。
(外銀インターンは良さげな買収先を見つけられるゲーと言っても過言ではないはずです笑)
被買収企業候補の絞り込み
いくつかリストアップした良さげな買収先を今度は一つに絞り込みます。
絞り込む際のポイントになるのは以下の通り。
・シナジーの具体化
「具体的にどこの部分がどのように噛み合っているのか」をプレゼンで語れるくらいまで言語化できるか否か
・売上/利益率/成長率などの定量的数値
同程度の時価総額かつ同事業の企業が2社ある場合、定量的数値が高い企業のほうが言いことは明白
・株主構成
創業者一家や競合他社が大株主だったりする場合は、実際に売ってくれない可能性があるので買収が難しい
ザっとこの辺りを見ておきましょう。
提案資料のキモになる部分なので、この辺りのロジックは逐一グループ内でコンセンサスを取って進めていくのをお勧めします。
株主構成に関しては基本的に株主が分散していたり、ファンドや金融機関が大株主だったりする場合だと買収可能性は高いと見て問題ないです。
一方株を手放したがりたくなさそうな創業者一家や競合他社が大株主だった場合でも例外はあります。
過去にM&Aに応じかけて結局頓挫した、といったような事実が日経新聞などから見つかれば、それをファクトに「買収可能性はあるのではないか」と仮説を立てることは可能です。
もしその場合は、その旨もプレゼンに含んでおきましょう。
バリュエーション
さて、ここでようやくバリュエーションの登場です。
Excelをゴリゴリ回します。
ここまで見てきた通り、外銀インターンは魅力的な買収ストーリーを作れるかどうかが評価の大部分を占めるためバリュエーションを敢えて積極的に担当するメリットはないと言っていいでしょう。
だいたいグループに1人はシェアプロジェクト等でバリュエーションを学んできた学生がいるので、その人にある程度丸投げしちゃうといいと思います。
そして1人がバリュエーションを回している間に残りのメンバーでロジックの「詰め」を行いましょう。
買収ストーリーを語る上で示しておくべきファクト収集や、プレゼン後の質疑応答で訊かれそうな項目について回答を考えておくといった作業ですね。
この辺りの情報をしっかり押さえておくと、質疑応答でも積極的に発言ができてアピールすることが可能です。
それでもバリュエーションを担当するという人は、ここまでのロジック作成面でしっかり議論に混ざりつつExcel作業の際に積極的に社員さんとコミュニケーションを取りましょう。
「類似企業の選定軸ってこれ以外に注意すべき点はありますか?」「買収価格が思ったより跳ね上がってしまったのですが…」といったような質問をすると、社員さんは快く答えてくれます。
学生を評価するのは社員さんなので、ここでコミュニケーションを取っておくと「こいつばある程度ファイナンスについて分かってるし、論点も押さえられてるな」という評価をもらえるチャンスが上がります。
モルガン・スタンレー以外の企業では基本的にDCF法は求められないので、市場株価平均法・類似企業比較法についてはある程度できるようにしておくといいと思います。
資金調達
ここも基本的にはバリュエーションを担当した学生1人がメインに担当し、助っ人で1人入るかどうかといった感じです。
バリュエーションとセットでやってしまうことが多いですね。
〇〇社の貸借対照表を見て、D/Eレシオ(負債と自己資本の比率)・現預金の数値を把握し、どのような調達スキームを組むのが適切かを見ていきます。
資金調達の方法としてメジャーなのは以下の4つの方法です。
①現預金
手元にあるキャッシュで全て賄えてしまうならそれがベストだが、ある程度の現預金は残す必要があるので注意
②銀行借入
商業銀行から借金することによる調達手法
③社債の発行
〇〇社が社債を発行し、投資家に購入してもらうことで資金を得る調達手法
④株式の発行
〇〇社が株式を発行し、投資家に購入してもらうことで資金を得る調達手法
上から順に調達方法を考えていくのがオススメです。
できれば株式の発行までは踏み込まないほうがジョブレベルの提案では無難でしょう。
というのも新規株式を発行するとなった場合はEPS(1株当たりの純利益)が希薄化してしまうので、既存の株を保有している投資家から「俺の持ってる株の価値が目減りするじゃないか!」と意見が出るのは必然です。
間違いなく質疑応答でも訊かれると思います。
その際に「この買収によってこれくらいの成長するので、一時的に希薄化しても後々回復してプラスになります!」とまで反論を用意しておく必要があり、これが時間的に結構厳しかったり論拠に乏しくなってしまう場合がほとんどです。
できれば社債の発行までで押さえておきましょう。
借入や社債での調達方法を考える際で注意すべきポイントは「D/Eレシオが上がって格付けが下がってしまわないか」という点です。
格付け(≒会社の信用力)が下がるとその後の資金調達がしにくくなるリスクもあるので、安易な負債調達は要注意です。
反論として類似企業の格付けやD/Eレシオをリスト化してみて、仮に今回格付けが下がったとしても業界平均的には問題ないということを示すといいでしょう。
あとは、過去の〇〇社の資金調達案件を見て「負債をこれだけ使って調達しても格付けダウンしなかったので今回も大丈夫」という論拠を添えるのもいいでしょう。
買収後のシナリオ構築
買収候補先の絞り込みと被る部分もありますが、買収した後に具体的にどのように変化するか、を述べる必要があります。
買収した後の財務諸表の様子(定量的視点)と成長シナリオ(定性的視点)を合わせて用意できておくといいと思います。
プレゼンテーション
1日目で現状分析・買収先のリストアップ、2日目(徹夜込み)で買収先の絞り込み・バリュエーション・資金調達、3日目(午前のみ)にブラッシュアップ、という形で進めると、無事提案資料が完成します。
3日目の午後からは、いよいよ提案資料をプレゼンするフェーズに入ります。
おおよそ自分が重点的に担当したスライドを話すことになると思いますが、基本的には「現状分析」「買収先のリストアップ・絞り込み」あたりの上流部分を話すのをおすすめします。
その理由としては単純に話す量が絶対的に多くなるのと、買収ストーリーのロジックの説明のほうが評価されやすいという点です。
バリュエーションや資金調達の細かい部分はプレゼンテーションの制限時間内に話すことはまず不可能だと思っていいです。
また質疑応答に関しても、ロジック面70%・バリュエーション30%くらいの割合で訊かれることが多いというのもあり、ロジック面を話すといいと思います。
質疑応答で的確な回答ができると評価に直結するので、絶好のアピールポイントだと思って回答しましょう!
懇親会
ここまでが終わるとヘトヘトになっているはずですが、夕方~夜にかけてはお酒も交えた懇親会が開催されます。
ここでも気を抜かずに社員さんと話しておきましょう。
意外にここで印象に残るとその後の囲い込みに呼ばれやすくなったりもするので油断はできません。
ご飯やお酒もほどほどに、社員さんと積極的にコミュニケーションを取っておきましょう!
また、多くのハウスで提案資料に関する順位発表があります。
ジョブで優勝したからといって内定に直結するわけではありませんが、景品ももらえたりするのでぜひ頑張ってください!
サマーインターンの評価ポイント
ここまでインターン中の流れについて書いてきましたが、では一体どんな学生が評価されるのでしょうか?
内定の森が考える評価される学生像は以下の通り。
多くの内定者もこのように振舞ってきた結果、内定を勝ち取っています。
①チームの中で上手く自分のバリューを発揮できているか
リーダーでなくとも、自分のやるべきことを認識してアウトプットを上げることができるか
②人当たりが良さそうか
変にマウントを取り合ったり喧嘩することなく、メンバーと気持ちいいいコミュニケーションを取れるかどうか
③ある程度の財務知識・ビジネス思考があるか
EBITDA・PERといった金融用語を最低限理解したうえで、社員さんと会話ができるか
①に関して「リーダーでなくとも」と書きましたが、大抵の場合はリーダーが評価されやすいです。
「他の学生への仕事の振り方や姿勢を社員にアピールできる」「買収ストーリーのロジック構成を主導して思考力をアピールできる」「質疑応答でも必然的に発言量が多くなる」といった要素は、間違いなくリーダーのみに許された特権でしょう。
ただ、外銀のインターンでは「リーダーやりたがり屋」「マウント取りたがり屋」の学生が紛れている可能性があり、だいたいの場合そのような学生はクラッシャーで頑固なので、そのような学生がいた場合はリーダーを任せておきましょう。
そして、サブリーダーとしてチームを上手くまとめる役割を担うのが賢明です。
それは社員さんも見ていれば分かるので、場を上手く回すサブリーダー像を演じられればしっかり評価してくれることでしょう。
【おまけ】18・19卒のジョブお題例
余談として、18卒や19卒でお題として出された企業をいくつか挙げます!
基本的にコングロマリット(多種多様な事業を営む複合企業)が多く、提案に幅が出るそうな企業ばかりになっています。
・富士フィルム
・旭化成
・キリンホールディングス
・花王
・ベネッセ
・ニコン
・ソニー
20卒以降も基本的に出題傾向は変わらないと思うので、時間がある人は上記企業の中期経営計画などをググって見てみるとイメージが湧きやすいかもしれません!
まとめ
以上、外銀のサマーインターン突破についてでした。
皆さん、ぜひジョブを突破して冬の本選考を優位に進めましょう!
「外銀内定への道」シリーズ