前回までの「就活の心構え」
就活を成功させるための基本とは?
前回2回では「社員はポジショントークをしてくるので、価値判断を他人に委ねないこと」「学生時代のキラキラ実績ではなく、入社後に活躍できそうなポテンシャルを見せること」の大切さを解説しました。
これらを押さえておくことは、就活を成功させるうえでの大前提となります。
自分なりの仮説をもって色んな人とコミュニケーションを取りつつ、能力と性格においてポテンシャルを見せていくことが必要になります。
しかし、まだVo.2までの解説だけでは具体的なアクションプランに落とし込めていません。
概念的なところを理解したとて、選考時に具体的にどのポイントを意識して振舞えばいいのかが分からないと、結局頭でっかちなままで終わってしまいます。
そこで今回は、より具体的に選考を突破するための基本となるポイントを解説したいと思います。
今回が「就活の心構え」シリーズの完結編となりますので、事あるごとにVo.1から見返して自分の血肉としてもらえればと思います!
選考突破のポイントは「他人との差別化」
選考を突破するために意識すべき超基本ポイントは「他人との差別化」です。
本質的にはこのポイント1点に尽きます。
他の就活生がどのように振舞っているか、何をアピールしているのかを知り、それと比較して自分の何が優れているかを的確にアピールすることが、内定を獲得できる唯一の方法です。
「なぜ他の人ではなくあなたを採用しなくてはいけないか?」という問いを選考官は持っているわけですから、それに対して自信を持って答えられるかどうかというのが非常に重要なわけです。
他人との差別化ポイントをひたすらに考え続け、自分の言葉でそれを表現できるくらいにまで腹落ちさせていく作業が就活生には必要となります。
それはもちろん面接やグループディスカッションをこなしながらPDCAサイクルを回し、回答はどんどんブラッシュアップしていく必要がありますが、前段として差別化ポイントを考えていくに当たって絶対に必要な能力があります。
「他人との差別化」にはメタ認知力が必要
皆さんは「メタ認知」という用語を聞いたことがあるでしょうか?
「メタ認知」とは「自分の認知(考える・感じる等)を客観的に認知すること」を意味し、要するに第三者の視点から自分や他人を客観視することを言います。
もともとは教育学や脳科学の用語として広まっていきましたが、最近ではビジネスでも普通に使われいる用語ですね。
実はこのメタ認知、就職活動とは切っても切り離せない関係にあります。
もっと言えば就職活動で失敗する人は、ことごとくメタ認知力を持っていないのです。
メタ認知の欠如によって選考に失敗した体験談や原因分析は下の記事に書いていますので、是非合わせて参照してください!
メタ認知力を上げていくことによって、人間的な成熟度も増していきますので、必然的に選考を突破できる可能性は高まります。
「大人っぽい振舞いをできること」は日系企業でも外資系企業でも重要な選考評価項目として挙げられている場合が多く、結果としてメタ認知力の高い人が選考を突破し内定を獲得しています。
メタ認知力を持つメリット
では実際にメタ認知力を持つことのメリットをもう少し細かく解説していきます。
①自分が選考官からどう映っているか分かる
就職活動で失敗する人の多くが「自分の伝えたいことをただ思うままに伝えてしまっている」というケース。
これはコミュニケーションとして非常に子供っぽいと言わざるを得ません。
「伝える」ことを目的としてしまっては、それはある意味で自己満足の行為と同じなので、ビジネスパーソンとしてはいまいちだという評価なのです。
まずは「伝える」ことではなく「伝わる」ことが重要であるということを肝に銘じて置きましょう。
要は「他人から見て自分はどのような印象を持たれているのか、どのような評価をしているのか?」という視点をまずは持つことです。
相手の気持ちを理解したうえで、そのニーズに応えるような自分を見せることができれば、そこで始めて自分のことが相手に「伝わり」ます。
例えば外資系投資銀行の面接を考えてみてください。
選考官は日々M&Aや資金調達案件に忙しい現役のバンカーです。
かなり激務の中で面接を組まれたりするので「あー、今日も寝てないなあ」「就活生の面接、めんどくさいなあ」と思っている可能性だって十分にあります。
加えてその人が採用に興味のある人なら多少はやる気を出してくれますが、採用には興味がなく会社から言われて仕方なく選考官として学生の相手をしているような人は、そもそも採用にあまりやる気がありません。
そういった人に対して、ただ自分が思うままに「日本経済を投資銀行に入って変えたいです!」と伝えてしまうとどういったことが起こるでしょうか?
選考官からは「あー、この子、まだまだ青いな」「投資銀行ビジネスってそういうものじゃないし、入社直後はそもそもエクセルとかパワポとか地味な作業をコツコツできるかどうかが重要なんだよ。何も分かってないな」と思われる可能性が高いことでしょう。
そんな心象を持たせてしまった時点で、あなたが選考を突破できる可能性はゼロに等しいです。
しかしメタ認知力があれば「きっとバンカーの方は忙しい中でわざわざ面接してくれるのだから、自分のアピールは勿論だけどそれより少しでも『話せてよかったな』『気分転換になったな』と思ってもらったほうが良いだろう」という仮説を持つことができます。
そのような仮説に基づけば、いきなり自分のアピールをするのではなく、アイスブレイクの段階で「すみません、私も初めての面接で緊張していますがお願いします」と自己開示をするとか、自然な範囲でハキハキ挨拶するとか、少し笑いが出るような話題を挟むとか、そういったクッションを挟もうという発想に繋がります。
そして自分のアピールをする際にも「少し青い夢かもしれませんが、自分はやはり投資銀行というビジネスには●●という可能性を感じておりまして~」といった形で枕詞を挟んで表現を柔らかくする配慮も生まれてくるでしょう。
大人のコミュニケーションは往々にして、柔らかい表現で自分の主張を通していくことが求められます。
こういった言い回しを意識できるか否かは、やはりメタ認知力の有無で決まると思います。
メタ認知を持って相手への配慮をしつつ自分をアピールすることができれば、きっと自分の主張が「伝わる」ことでしょう。
②他の就活生の姿を客観視できる
子の記事では再三のように「他の就活生との差別化が重要だ」ということを言っています。
メタ認知力を持つことは、同時にこの問題も解決することができます。
なぜなら「他人から見た自分の姿が分かる」ということは「他人である就活生のこともより客観的に分析することができる」からです。
例えば集団面接の際に、他の就活生が「僕は体育会系で体力には自信があります」ということをアピールしていて、それが面接官に刺さっているような雰囲気だなと分析できていれば、もしかすると自分の番でもより「ガッツのある」エピソードを話したほうが良いかもしれないという仮説が立ちます。
グループディスカッションの際に、いわゆるクラッシャーとして自分の意見を何とかして押し通してリーダーシップを取ってこようとする人がいた際も「きっと中盤くらいで論点設計のほころびが出てくるだろうから、それまでは議論の波に乗るくらいで待機しておいて、詰まったところで議論のハンドルを奪いに行こう」という仮説が立ちます。
グループディスカッションのお題は「●●を改善するには?」など、多くの専門家やビジネスパーソンが時間を掛けて検討しているお題ですので、20分やそこらでは回答が出るわけがなく、絶対に中盤で議論は行き詰まります。
それを待って「逆に××という視点から考えたらどうでしょう?」と不意に議論のハンドルを奪い返せれば、選考官からも「なるほど」という評価がもらえるでしょうし、クラッシャー以外の就活生からも「おおなるほど、その視点があったか」と信任を受けることができ、ポジティブな印象を植え付けることができます。
エントリーシートを書く際も、メタ認知があれば「この志望動機なんて、他の学生も腐るほど書いてるだろうな。まあ志望動機は似通ってしまうのは仕方ないけど、どこか特技や経歴で自分にしかないアピールポイントを盛り込めないかな」と何とか差別化ポイントを探そうという発想に切り替わります。
他の就活生が何を考えているのか、それを選考官はどう見ているのかをまず考え、その選考官の目を受けて「では自分はどう振舞うといい評価がもらえそうか」を考えることは、就職活動において最も意識すべき論点だといえます。
そういった発想を持てるためにも、メタ認知を鍛えていくことが重要なのです。
メタ認知力の鍛え方
メタ認知力、特に就活で使うためのメタ認知力を鍛えていくにはどうすればいいのでしょうか?
日ごろから人間観察をするとか自分を客観視する意識を持つとかは当たり前のことですが、より具体的なアクションに落としてメタ認知の鍛え方をいくつか挙げてみようと思います。
就活塾で率直なフィードバックを貰い続ける
就職活動を続けていく中で、就活生の中には就活塾からの勧誘を受けることも少なくないと思います。
入会費用として数万円を支払って、ESや面接対策を受けられるというのが一般的な就活塾ですが、こういったマンツーマンに近い指導を受けられる場所に身を置くのは一定の効果があると思います。
模擬面接をしてもらう中で「自分が実際にどのように映っていたか」「他の就活生と比べて何が足りていないか」というアドバイスを貰ったりすることで、より自分のメタ認知力を鍛えていくことができます。
「自分は今のエピソードでこういうことが伝わったと思ったが、実はあまり伝わっていなかった」ということが分かれば、メタ認知の方向性を修正することもできますしね。
しかし就活市場には悪徳商法に近い就活塾も紛れ込んでおり、中には不当にお金を払わされた挙句ロクな指導を受けられなかったという話も少なくありません。
そこで内定の森としてはのおすすめの就活塾をご紹介します。
その名も「SPARK CAREER」です。
この就活塾の特徴は、何より「内定が貰えなかったら受講料の全額を返金する」という保証付きだということ。
それだけ就活生の皆さんの内定にコミットするということであり、就活塾としては非常に健全なインセンティブ設計がなされていると思います。
SPARK CAREERについては以前内定の森として詳しく解説した記事があるので、合わせて参照してみてください!
スカウトサービスを使ってみる
就活サービスにはいくつか分類がありますが、その中でも「逆求人型」や「スカウト型」と呼ばれる就活サービスがあります。
要は企業があなたのプロフィールを見て興味を持った場合、企業側から「面談や面接に来ませんか?」と声をかけてくれるサービスということです。
こういったサービスを使うとなぜメタ認知が鍛えられるかといえば「多くの企業から案内メールがくる=魅力的なプロフィールの書き方になっている」ので、疑似的に他人から自分がどう見られているのかを測れるからです。
逆にあまり連絡がこない場合は、自分ではイケてるプロフィールだと思っていたのに、それを見た企業側の社員からはあまり魅力的に映っていなかったということになります。
その場合は急いで別の見せ方に修正する必要があります。
この仮説検証のプロセスの中で、ひたすらにメタ認知力が鍛えられていきます。
勿論案内メールが来たら実際に面接を受けられたりもするので、その場で自分の伝えたいことが伝わっているかを実験することもできますし、就活生にとっては至れり尽くせりのサービスなわけです。
内定の森として、おすすめのスカウトサービスとして「Offerbox」と「キミスカ」を挙げさせて頂きますので、まだ登録していない人がいたらぜひ登録してみましょう!
OB/OG訪問サービスで社会人と話してみる
OB/OG訪問というのは就活生にとって一度は聞いたことがあるはず。
特に日系企業を志望する人はOB/OG訪問の数を稼ぐことは選考に直結することもあったりしますが、実はメタ認知力を鍛える場としても使えるのです。
OB/OGに訪問して実際に社会人と話す経験をたくさん持つことで他人からの目線や評価を貰うことは勿論のこと、同じ大学の先輩が「就活生の時に、実際に選考官からはどんなことを期待されていたのか、そしてどのように振舞うことで選考官から評価を受けることができたのか」ということを知ることができます。
自分とバックグランドが似ている人の立ち振る舞いというのは非常に勉強になると思います。
OB/OG訪問サービスで最も有名かつ最も使えるサービスは「ビズリーチ・キャンパス」一択です。
基本的に無料で全て使えるサービスなので、まだ登録していない人はぜひ登録してみましょう!
就活支援サービスの選考講座に参加する
メタ認知力をインプットにより鍛えていったあとは、実践の場で試してみて修正していく作業が必要になります。
実際のグループディスカッションや面接という場を通して、自分がどのような評価を貰えそうかというのを測っていく必要があるわけですね。
余談ですが、近年は特に難関企業と呼ばれる企業からの内定を獲得するためのコミュニティとして「選抜コミュニティ」というのが流行っています。
選抜コミュニティでは毎週のようにグループディスカッション講座や面接対策講座が開催されていたりしますが、非選抜コミュニティ会員の人は残念ながら受講することができません。
では一般就活生はどのような機会で担保すればいいかというと、普通の就活支援サービスが提供しているグループディスカッション講座等を活用する以外にありません。
でも意外と実はそういったイベントは開催されており、申し込むことによって無料で参加をすることができたりします。
例えばGoodfindやハローナビといった就活サービスでは、定期的にそういった実践的な選考対策講座を開催していたりするので、まずは登録をして情報をフォローすることが重要です。
就活とメタ認知力の関係まとめ
以上、就活とメタ認知力の相関をはじめ、メタ認知力の鍛え方も併せて解説してきました。
メタ認知力を鍛えることが、選考通過率を上げる第一歩です。
しっかりとインプットとアウトプットのサイクルを繰り返してメタ認知力を鍛え、選考を突破していきましょう!