「裁量権」「成長」「働き方改革」「ランキングで1位」など、企業の人事は学生にとってなんとなく魅力的に聞こえるワードを散りばめながら学生を感化させようとしがちです。
今回は悩める就活生の皆さんに、人事が言いがちなキラキラワードの真の意味をお教えしていこうと思います!
皆さんも面接・グループディスカッション・ジョブ・インターンなどに複数参加してくると「キツネとタヌキの化かし合い」という感覚がつかめてくると思います。
企業の人事は何とかして自社の悪い箇所を脚色しながらそれっぽい言葉で自社の魅力を語ってきたり、先輩風を吹かせながらドヤ顔フィードバックをしてきたりします。
一方学生も何も分かっていないながら、
「このお題に対する論点は2つあると思っていて…」
「一旦議論の骨子を整理すると…」
「事業セグメントをまずは洗い出すことがマストで…」
などとそれっぽい言葉を使って自分を賢く見せる術を覚えていきます。
この構図はまるで合コンです(笑)
自分の真の姿を隠しながらデフォルメして、自分をいかに良く見せて相手に魅力的な人間だと思わせるか…
それが就活のキモであり合コンのキモです。
あまり真面目ぶることなく「今日は合コンで可愛い子/イケメンと仲良くなるぞ!」というような気持ちで臨むと、案外就活は上手くいくかもしれません。
そんな寄り道みたいな話は良いとして、要するに企業の人事は学生にとって魅力的に聞こえる耳当たりの良い言葉を使いがちだということです。
学生の皆さんはそれに騙されず、等身大の企業の実力を測る必要があります。
人事の言葉はまるで外国語です。
日本語でありながら、文字面通りの意味を真に受けてしまっては翻弄される一方です。
以下の記事でも書きましたが、就活というフィールドではどうしても学生は情報弱者となってしまいがちです。
企業の甘い言葉に騙されやすい立場にあることはしっかり覚えておきましょう。
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その結果、入社してから「聞いていた話と違う!」「こんなつまんない仕事をやるために入社したんじゃない!」と会社に絶望してやる気をなくしてしまうのです。
そのようなミスマッチを起こさないためにも、人事が口にするキラキラワードを正しい形で解釈する必要があります。
今回は就活を通じて耳が痛くなるほど聞くであろう人事の鉄板キラキラワードを、内定の森運営メンバーがきちんと翻訳します。
何事も旨い話はありません。
等身大の企業の姿を目に捉えましょう!
はい、来ました。
成長中のITベンチャーの説明会に行くとまず間違いなく聞く言葉だと思います。
実際学生もこの「裁量権」「成長」という言葉に惹かれて、色々な企業の面接で「裁量権のある立場で仕事がしたい」「常に成長し続けたい」と口にします。
そりゃあ裁量権がないよりあったほうが面白い仕事ができるのは当たり前ですからね(笑)
しかも成長したくないなんて言ったらまず面接は落ちるので、成長したいと言わざるを得ません(笑)
ただ、このキラキラワードを翻訳すると以下のようになります。
①【ウチの会社は教育制度が未整備で、キャリアパスは場当たり的だよ】
②【裁量権を持って働ける人もいるけど、それはごく一部の優秀層だけだよ】
③【会社として営業利益の安定的な成長が見込めていないよ】
だって冷静に考えてみてください。
キチンとした研修制度が整っていれば、まずは座学なり何なりを通じて新卒にキチンと知見を刷り込ませますよね?
それから独り立ちさせるために仕事にジョインさせたほうがよっぽど業務効率は良いはずです。
一流日系企業なら大量採用した新卒にコストを掛けて、一律の研修を受けさせることも可能でしょう。
ただ、ベンチャー企業にはそのような余裕はありません。
いきなり仕事場に放りだされて「あとは成果出して」がデフォルトです。
面倒見のいい上司に当たれば別ですが、そんなパズドラみたいな「上司ガチャ」をするのはできれば避けたいですよね(笑)
そうなってくると【裁量権を持って成長しながら仕事ができるよ】の裏返しの意味は①になります。
でも確かに裁量権を持って面白い仕事ができるポジションにいる社員もいます。
説明会やインターン中の座談会などには概してこういうエース社員が来て、ドヤ顔で自分の仕事の面白さを熱く語りがちです。
しかしこれも落ち着いて考えれば分かるのですが、みんながみんな裁量権を持って働いて会社が回ると思いますか?
仕事というのはオペレーショナルな性質のものが多く、概してつまらないものです。
そういう仕事を振られて、つまならいながらもこなしている他の社員がいることを忘れてはいけません。
裁量権があって面白い仕事を振られる人、常にオペレーショナル業務しか振られない人。
この2つを分ける指標はズバリ「社内評価」です。
評価されている社員にしか面白い仕事は回ってきません。
そしておおよその場合、そういう仕事は東大早慶でかつその中でも優秀な人が取っていきます。
社内の10%程度が面白い仕事ができる人たち、残りの90%は日々つまらない仕事で毎日を消費している人たちといったところでしょうか。
そういった事前知識がある上でこのキラキラワードを聞くと、②の意味にも合点がいきますね。
そして何より、①や②という働き方をせざるを得ないのは③だからです。
ベンチャー企業は基本的に日系企業よりも潰れるリスクは高いです。
というのもベンチャー企業は事業ポートフォリオ上、1つの事業で収益の80%以上を賄っている企業がほとんどだからです。
マクロ環境が変わってその事業が吹っ飛んだら、倒産街道まっしぐらなのは自明ですね。
このようにして、企業の裏のメッセージを読み取っていく必要があります。
では、次はどうでしょうか?
出ました。
これはベンチャー企業に限らず、意外と優良日系企業でも盛んにアピールしてくる場合もありますね。
このセリフを聞いたらまずこのように翻訳してください。
①【ウチの魅力は外部の指標を使わないと説得力が出ないんだよね…】
②【ランキングの根拠が薄いけど、それっぽいから言っとくか…】
③【実は外資や日系難関企業はランキングにすら参加してないんだよね…】
①について、本当に人気のある企業であったり評価されている企業であるならば、わざわざランキングを押し出す必要がないですよね。
そんなことを言わなくても多くの就活生が「働きたい!」と思う会社なんですから。
このようなランキングを盛んに押し出してくる企業を見たら「ああ、そうでも言わないといい学生が他社に逃げちゃう程度の企業なんだな」と思ってもらって間違いないでしょう。
ここまで言うのも全ては②だからです。
色々な指標でランキングを作っているエージェントがありますが、基本的には社員への定性的なアンケート結果に依存しています。
アンケートの結果が良いと上位に行きますし、悪いと下位に行きます。
しかし企業によっても社員の母数が違うので、サンプル数が多い大企業はそれだけ上位に行くのが難しくなります。
例えば従業員2000人の大企業Aと従業員200人のベンチャー企業Bの各100人が「うちの会社は100点!」という結果を提出したとしましょう。
大企業Aの残り1900人が「うちの会社は0点」と言えばググっと点数は下がりますが、ベンチャー企業Bは残りが100人しかいないので、その100人が0点を付けても相対的に大企業Aよりも順位が高くつきます。
また、ベンチャー企業のほうが少人数で会社のカルチャーに染まりやすく「ウチの会社は100点!」と言う社員が多いのもまた事実です。
非常に根拠が定性的かつブレやすいですよね。
そもそも外資系企業や日系難関企業はこんなランキングに興味がありませんから、このアンケート調査に参加すらしていない可能性もあります。
そんな③のような状況で「働きたい会社ランキングで1位!」とドヤ顔されても、賢い学生には逆効果というものです。
どの企業であろうと、だいたい一人はこう言う社員さんがいるはずです。
「自分には選択権があって、敢えてウチを選んだ」という風に聞こえますが、実態は意外とこんな感じだったりします。
【実は〇〇に行きたかったんだけど、全落ちしたんだよね…。自分を正当化するために今は「ウチが最高!」って思い込むしかない】
一度でも「〇〇に落ちたからウチに来た」というニュアンスのことを社員が口にしてしまうと、その会社は学生からナメられてしまいます。
社員さん個人のプライドとしてもそのようなことは言いにくいでしょう。
キチンと他からも内定をもらった上でその会社を選択した社員さんならばこう言うはずです。
「〇〇から内定もらったけど、やっぱりウチが合ってたんだよね」
これはもう、人事のキラキラワード鉄板ですね。
【このインターンは本選考とバリバリ関係あるけど、経団連の協定を守ってる以上言えないんだよね…】
まあ、そういうことです(笑)
会社の評判を下げることになるので社名は出せませんが、一定数の日系難関企業は実際にこのような「ウソ」をついています。
「インターンと本選考は一切関係ありません」と言いながら実はしっかり評価を付けていて、インターン終了後に優秀者に対してはこっそり面談や早期選考を進めます。
そして6月1日の前に口頭内定を出すというのが常套手段です。
インターンで評価に傷がつくと本選考の面接にすら進めないという話は少なくありません。
「念には念を」ということで「社員さんと何かしら接触する機会があったとしたら、社員さんから自分は評価を付けられている」という気持ちで説明会から臨むといいでしょう。
社員さんと接触するということはチャンスである反面、リスクでもあるのです。
これは外資系投資銀行の社員さんとかがよく言ったりしますね。
財務というバックグラウンドを持って仕事をするわけなので、勿論専門性はある程度身につくことでしょう。
ただ、実態としてはこんな感じに思っておいてください。
【専門性はつくけど、転職先で本当にそのスキルが100%生かせるかは微妙なんだよね…】
一口に「転職バリュー」と言っても、どの業界の転職市場で戦いたいかによって自分の市場価値は変わります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)といった金融業界のトップ・オブ・トップに転職するのであれば、業務的にもかなり似ている外資系投資銀行のスキルや専門性はそっくりそのまま生かすことができます。
しかし例えばベンチャー・キャピタルや全く違った業種に転職したい、という場合はその専門性を生かせる範囲は狭まります。
VCはベンチャー企業への投資判断を行うので、一見外資系投資銀行の財務モデリングのスキル等が活かせそうと思うかもしれません。
しかし外資系投資銀行のクライアントは主に日本の超一流企業なので、バリュエーション(企業価値評価)の手法が結構違います。
また異業種に転職するとなった場合は、バリュエーションの知識はほぼ活かす場面がなくなります。
(Excelを打つのが早くなるのはある程度どこでも使えそうですが笑)
外資系投資銀行に限らず、社員さんからこのような甘言を聞いたら一度立ち止まってください。
そして「自分が将来どこの転職フィールドで勝負したいのか」「その転職フィールドで勝負するのにこの企業はファーストキャリアとしてアリなのか」という思考に切り替えてください。
自分のキャリアの仮のゴールをどこに置くかによって、専門性の活かし方や転職バリューの概念が変わることは念頭に置きましょう。
電通社員の自殺事件があってから、日本全体として労働時間に対する規制が大きくなってきました。
「激務」という言葉がネガティブにとらえられ、働き方改革こそが是とされる風潮が今のビジネス環境に芽生え始めています。
ただ、これは裏を返すとこのような意味になるでしょう。
【以前と同じ成果をより短い時間で出さなきゃいけないから、結構メンタル的にしんどいんだよね…】
入社したての頃は右も左も分からないもの。
労働時間の制約が緩く試行錯誤する時間的余裕があった頃は、時間を投下して自分で仕事のコツをつかんでいくことが可能でした。
しかし今はそのような余裕はありません。
ただしビジネスには常に成果が求められますし、労働時間が限られたからと言って成果を落としていいわけではありません。
勿論無駄な作業を撤廃して効率化しようという動きは良いのですが、根本的なアウトプットの質は維持もしくは上げていかなくてはならないわけです。
時間的余裕のない中でいきなり成果を求められるのは、新卒にとってある意味で酷だという見方もあります。
「ホワイト化してるからノルマや働き方も優しくなったんだな」と勘違いすると、入社後に結構大変です。
以上、代表的な人事のキラキラワードを翻訳してみました。
他にも人事が言いがちなキラキラワードはありますが、その際にも同様に裏のメッセージを読み取ることを意識してみてください。
ただでさえ就活は学生が情報弱者になりやすい世界。
少しでも企業の等身大の実力を測る努力をしていきましょう!
キラキラメッセージに騙されないためにも、就活生の皆さんは効率よく良い情報を集めていく必要があります。
内定の森のメンバーは以下の就活サービスやメディアを使いながら、効率よく情報収集を進めていきました。
勿論正しい情報と少し違う情報とが混ざっていることもありますが、概して情報の信憑性は高く安心できるサービスばかりです。
まだ登録していない人がいたら、ぜひ登録を考えてみましょう!